近況:本業やや忙しく、ゲームが1日0時間気味。

DQX 失われた記憶を思い出して 〜1.存在を思い出す〜

モーモンかわいいモン

ある日switchをもらった

スイッチあげるから、もらってよ。と、仲良しのUちゃんに言われた。
スイッチってなんのスイッチ、やる気スイッチならそりゃめちゃくちゃ欲しいけど、わたしには取り付ける回路がどうやら存在しないからさ、ムダになっちゃうよ。
と思ったら、「職場の納涼会のビンゴで当てたんだけど、使わないからこゆりちゃんにあげるよ」と言うので、ああ、ニンテンドーswitchのことかあ。

「もらっちゃっていいの? Uちゃんあそばないの?」
「うん。こんなものねえ、やり始めたら睡眠を削ってやりまくっちゃうからね、危険危険」
「あー…」

そうだった、この子はそういう子だった。一途というか、集中力が半端ないというか、ゲームが好きというか、すぐに寝るのも忘れて深く没頭してしまうのだ。ただでさえ忙しく仕事をしている上にこれから猛暑が続く季節、夏バテの身体で睡眠時間を振り替えてゲームなんてしたらめちゃくちゃあぶないに決まっている。よくない。
メルカリでほしい人に買ってもらうとか、どこかに買い取ってもらうとかは、と言うと、せっかくのラッキーだったんだからその物的証拠を自分の好きな人に使ってもらいたい、ということだった。あああ、それはなんだかわかるよ……。ということで、ありがたく使わせていただくことにした。ありがとう。

「なんのゲームしたらいいかなー? 今ってなにが流行ってるの」
「えっわかんない。TOKIOがCMしてたマシュメロのやつ(どういう説明だよ)は? 知らんけど」
「フォートナイトじゃん。ぜったい無理なやつじゃん」
「うん、こゆりちゃんがフォートナイトできたらびっくりするわ。ドラえもんのもしもボックスでパラレルワールドに来ちゃったかと思うわ。ちょっと見てみたいけどね♡」
「ゲームのできるわたしか……ちょっと怖いな……」

フォートナイトは見たことがあるのでわかる。あれは、ちゃんとした三半規管や敏捷性、指と目と脳のセンスを備えた人のためのスポーツではないかと思っている。
わたしはかつて、Uちゃんのたっての希望で目の前でマリオカート(だっけ?)をプレイし、何度やってもたぶん同じ地点で同じ側溝みたいな水路みたいななにか(なんだっけ?)にドボンと落っこちて「おなか痛い、息できない、ごめん頼んだのは確かにこっちだけどお願いもう許してください」と言いながら床を転げ回らせてしまったことがある。『逆走です戻ってください』的なお知らせがひっきりなしに出ていたがどうすることもできなかった。度を越した笑わせは暴力的になってしまうなと思った。スーパーマリオを1-3から先に進めなかったときには、Uちゃんは「えっ…300円分くらいしか遊べてなくない…?」と言って、かわいそうだからとお菓子を買ってくれた。しかし神様に誓って、わたくしはベストを尽くしていただけなのです。

そんな人間にとってフォートナイトやスプラトゥーンはプロ野球みたいな雲の上の世界、わたしはプロの野球に入れてほしいなんてことは思ってなくて、ただ自分の能力の範囲内で楽しくあそびたいのだ。いらない紙をガムテープで丸めて三角ベースでいいから。

だけど自分じゃない誰かがプレイしているフォートナイトは楽しい。だってプロ野球またはWBCだから、ただ観ているだけで、観ていることが、とっても楽しい。
YouTubeで見た、トータルテンボス藤田(初心者)とペンギンズノブオ(だいぶできる人)が一緒に遊ぶ動画がとても好きで、何度も再生している。ゲームをプレイしているだけなんだけど、藤田さんの無邪気でものすごく素直なところ、ノブオさんの真面目で親切なところが自然にあらわれているような気がしてうれしかった。ノブオさんはゲームそのものもだけでなく教えることがとても上手で、大げさに励ますわけでなくさらりとかける言葉がとてもいい。

(残念ながら現在は藤田さんとノブオさんの動画は視聴できなくなってしまったので、代わりに管理人がFORTNITE CHAPTER2のトレイラーを埋め込んでおきました。)

初めて見つけた宝箱を夢中で開けていたら倒されてしまってあぜんとしている藤田さんに、今のでもう宝箱の開け方はバッチリですね、とフォローしたり、
チャンスの場面で一生懸命に撃ったのにただの一発も当たらずあえなく撃破され、違う武器のほうがよかったと負け惜しみ? を言ったときには、得意な武器が見えてきたのは大きな前進ですよ、と言っていた。ええ〜〜優しい!100点満点だよ、そんなふうに言われたら生徒は伸びるにきまってるよ。いままで彼は「みんなの舎弟♡」なイメージだった(本業のネタがああだから…)けど、もうみんなの家庭教師になってほしい。わたしはお茶とケーキを持って行く役がやりたい。学期末には生徒のいないところでめちゃくちゃ感謝してほめまくってボーナスを出したい。
あとゲームしているときの姿勢が美しい。あとほっぺがつるつるでぴかぴかですばらしい。

そうしていかにノブオ氏が推せるかということを再確認していると、Uちゃんがひらめいたように言った。

「わかった、ドラクエだ。ドラクエ10っていうのやるといいよ!(笑)」

そしてふたりでくすくす笑った。

ドラクエ10。それはいまからさかのぼること7年前、わたしとUちゃんが一時的にハマり、そして短期間であっさりとあきらめ、
いまでもときどき懐かしんでは語り合う伝説のゲーム。
ふたりの間では鉄板自虐ネタとなっている伝説のゲーム。

あれは、つらかったね。
あれは、やばかったね。
あれは、なんだったんだろうね……!?

すぐやめちゃった7年前の思い出

ドラクエ10が発売されたのは、2012年8月2日(ってWikipediaに書いてあった)。わたしとUちゃんは、たぶんそれからすぐに始めたような……と思って当時の日記を引っ張り出してきたところ、2日に買って3日に始めていた。ここだけは一人前である。
Uちゃんは子どもの頃からしっかりドラクエに親しんできた人。わたしは初めて遊んだドラクエが9(2009年・3DS)で、モーモン種のとりこになって本編そっちのけで「マポレーナに手編みのマフラーを渡すクエスト」(これ覚えてる人絶対いるよね、絶対いるでしょ?)ばかりを何度も何度もリプレイしていた、まあそういうタイプの人です。ゲーム情報に疎いため10についてもあまりよく知らなかったのに、ヨドバシカメラの店頭POPに白黒のかわいい姿があったのを見て「モーモンいるんだ! テレビのおっきい画面でうごくモーモンみたい〜」と思って軽いノリで始めた。

最初のうちは楽しんでいたし、基本操作もおぼつかないポンコツながらに仲のいい見知らぬ人も何人かできた。
ただ、遊んでいくうちに、1日30分ずつ、のような遊び方ができないことに気がついた。ゲームの中で何かをしようとすると、とりあえず目的の場所に移動するというだけですごく時間がかかっていたと思う、世界が広すぎて。

(注:当時使えた移動手段は「徒歩」「電車」「ルーラストーン(自宅を除いて3個)(もちろん1個からのスタート)」でした)

その上なんといっても三角ベースの人、逆走ミゾはまり散歩の人なので、なにか実のあることをしようと思うと「超がんばるぞ!」という気合いが必要、だいたい常にへとへと。そういうんじゃなくてちょっと2、30分かるく遊ぼうかな、と思うと、ログインして近所のそのへんをテクテク歩いて帰ってくる、とか、あとはもう知ってる人とそのへんの丘とかそのへんのベンチに座ってしばらくおしゃべりして「またね〜」みたいな、それも楽しいんだけど、でも、それって、LINEですよね……。わたしのドラクエ10は「お互いにログインが必要なアバターつきのLINE(月額1000円)(スタンプ機能なし)」となってしまった。

Uちゃんはわたしよりも要領良くやってはいたけれど、それでもやっぱり、疲れちゃった、といって徐々に足が遠のいていった。周囲の人たちもみんな初日組なのでバリバリのガチ勢さんも多く、一緒にいると迷惑をかけたり気を遣わせちゃうので誘われても断ってしまったり、そういう、しがらみと言うほどでもない小さな気疲れとかもあった。
仲良くなった見知らぬ人たちも、毎日がんばって日に日にしっかりレベルを上げていく人とついていけなくなって肩身が狭い人とに分かれ始め、そうして後者の人たちはだんだんいなくなっていったと思う。もはやLINEとしての機能も薄らぎ、いつしかログインしなくなり、もともと「一度始めたことは最後までやり抜こう」みたいなものが一切搭載されていないわたしとドラクエ10との仲は、あっという間に終わった。楽しかったはずなんだけど、続けられなかった。たしか、4〜5ヶ月くらいのことだった。

もう少し続けていれば、「レベル上げをがんばるわけじゃない楽しみ方」みたいなものがちゃんと見えて、そういう人たちでゆるく仲良く、長くいられたのかもしれない。
だけどあのときはまだ誰もドラクエ10の全体像を掴めていないから、もっともっと先へ行こう、はやく全部を見たい、という大きな流れのほうが強かった。まっさらだった攻略サイトがすごいスピードで刻々と埋まっていくその最中だった。
「来ちゃいけないところに来ちゃった、ごめんなさいお邪魔しました」って感じになってしまって、そそくさとおいとましてしまったんだ。

あんなことがあったね、こんなこともあったね、と、わたしたちはひとしきり、かつての辛かった思い出を語り合っては笑った。

「でもさ」
Uちゃんがちょっとまじめな顔で言った。

「いまって……もしかして、だいぶ、変わってるんじゃない?」

そう、わたしたちは2012年のストイックでつらくてやばくてなんだったのかもうわからない、そんなドラクエ10しか知らなかった。

まさかあんなことや、こんなことになっていたとは………。

椎名

次回、ドラクエ10現役組から華麗にひっぱりこまれるよ。またね。